経過措置の必要性及び内容について

(附則第3条〜第28条関係)

1.介護予防関連規定の適用に関する経過措置(附則第3条関係)

(1)経過措置の必要性
@ 新しい予防給付が導入された後には、介護予防サービス等のマネジメントについては、地域包括支援センターが指定介護予防支援業者の指定を受けて、その役割を担うことになる。
A しかしながら、地域包括支援センターを設置するには、保健師等の専門職の職員の確保が必要となるため、改正法の公布後一年間も経ていない平成18年4月時点では、一部の市町村において、地域包括支援センターが設置されず、介護予防サービスのマネジメントを担う介護予防支援を確保することが困難となることが想定される。
B 介護予防支援を確保できない市町村については、サービス提供の要となるマネジメントが実施できず、新しい予防給付の実施が困難となることから、新しい要支援認定の実施や新しい予防給付の実施について、一定の経過措置を設ける必要がある。
(2) 経過措置の内容
地域包括支援センターが設置されないことその他の事情により、介護予防支援の見込み量の確保が困難であると認められる市町村においては、平成18年4月1日から平成20年4月1日までの条例で定める日まで、新しい要介護認定や新しい予防給付は行わないこととする。
    上記の場合においては、新しい要介護認定において、要支援状態も含んだ要介護状態についての認定を行うこととする。

2.施行前に行われたサービスに係る経過措置(附則第4条関係)

(1)経過措置の必要性
   改正法の施行時においても、改正法の施行前に改正前の規定に基づき要介護者等が利用した介護サービスについては、市町村が利用者に対し保険給付を行う必要があることから、この場合の経過措置を置く必要がある。
(2)経過措置の内容
   改正法の施行前に行われた居宅サービス、居宅介護支援又は施設サービスに係る介護保険法の規定による保険給付については、なお従前の例によることとする。

3.住所地特例対象被保険者に係る経過措置(附則第5条関係)

(1)経過措置の必要性
   今次の改正において、住所地特例の対象施設の範囲を見直すこととするが、その適用関係について、法の施行の日以降に入所または入居(以下「入所等」という。)を行ったものとすることとし、また、法律上そのような取り扱いをすることを明確に規定して欲しいという市町村からの要望が強いことから、規定を設けるものである。
(2)経過措置の内容
   改正後の介護保険法第13条の規定は、法の施行の日以降に住所地特例対象施設に入所した住所地特例対象被保険者から適用することとする。

4.養護老人ホーム入所者に係る経過措置(附則第6条関係)

(1)経過措置の必要性
   養護老人ホームについては、新たに住所地特例対象施設として位置付けることとしている(新介護保険法第13条)が、施行日以降から引き続いて入所しているものは同条の対象外となっている。
   養護老人ホーム措置入所者については、入所日が施行日以前であると以降であるとを問わず、施行日前入所者についても、新介護保険法第13条と同様の特例を認める必要がある。
(2)経過措置の内容
   改正法の施行の際、現に養護老人ホームに入所している者について、当該養護老人ホーム等に入所していす間は、当該入所措置をとった市町村が行う介護保険の被保険者とする。

5.小規模介護老人福祉施設入所者に係る経過措置(附則第7条関係)

(1)経過措置の必要性
   現行制度においては、入所定員が29人以下の介護老人福祉施設についても住所地特例の対象としている(旧介護保険法第13条)が、改正法の施行後においては、地域密着型サービスとして住所地特例の対象外となる(新介護保険法第13条)。
   しかしながら、現行制度においては住所地特例制度のもと他市町村からの転入者を受け入れていることを所与すれば、改正法の施行の際、現に小規模介護老人福祉施設に入所している者については従来どおり住所地特例制度の対象とする必要がある。
(2)経過措置の内容
   改正法の施行の際、現に小規模介護老人福祉施設に入所している者について、新介護保険法第13条に規定する住所地特例対象施設に入所又は入居中の被保険者と同様の特例の対象とする。

要介護認定に係る経過措置(附則第8条関係)

(1)経過措置の必要性
   平成18年4月1日から改正後の「要介護状態」又は「要支援状態」を認定する要介護認定や要支援認定が行われるが、施行の際現に改正前の要介護認定や要支援認定を受けている者については、施行時において再度認定を受ける必要があるのか等の疑義が生じるため、その者の取り扱いに関する規定を置く必要がある。
(2)経過措置の内容
   施行の際現に、改正前の要介護認定又は要支援認定を受けている者については、その認定の有効期間中、従来と同様の介護サービスを受けられるよう、施行日において、改正後の要介護認定を受けたものとみなす。
   上記のものに係るみなされた新しい要介護認定の有効期間は、改正前の有効期間の残存期間と同一とする。

7.事業者の指定に係る経過措置(附則第9条関係)

(1)経過措置の必要性
   改正法の施行の際、現に都道府県知事の指定を受けている指定事業者については、改正法の施行後も、引き続き、指定事業者として指定を受けているものとみなす必要があるが、指定に有効期間を導入することに伴い、起算日を特定する必要もあることから、改正法の施行の日に、新たに指定を受けたものとみなす必要がある。
    また、地域密着型サービスについては、指定の権限が市町村に移行することから、必要な経過措置を置く必要がある。
(2)経過措置の内容
   改正法の施行の際、現に都道府県知事の指定を受けている指定事業者(上記の認知症対応型生活介護等の事業を除く)については、改正法の施行の日に、改正後の介護保険法の規定による指定を受けたものとみなす。
    また、改正法の施行の際、現に都道府県知事の指定を受けている認知症対応型共同生活介護若しくは特定施設入所者生活介護(地域密着型特定施設において行うものに限る)を行う事業者又は指定介護老人福祉施設(入所定員が29人以下のものに限る)については、改正法の施行の日に、当該事業所または施設の所在地の市町村長(施行日の前日に他の市町村の被保険者が入所又は入居しているときは、当該地の市町村の長)により、地域密着型サービスの指定を受けたものとみなす。ただし、認知症対応型共同生活介護又は地域密着型特定施設については、小規模多機能型居宅介護等別の類型への転換も考えられることを配慮し、施行の日までの間に、別段の申し出をしたときは、この限りではないこととする。

8.施設入所者に係る経過措置(附則第10条関係)

(1)経過措置の必要性
   介護保険施設に入所している者が、要支援認定を受けた場合には、予防給付にこれらのサービスに係る給付がないため、それらの施設を退所することになり、施行前から入所している者(施行前入所者)についても、新しい要支援認定を受けた場合には、介護の必要度が変わらないにもかかわらず、施設を退所することとなる。
   このことは、制度変更という施行前入所者が入所時に予測できない事態であり、施設からの退所により、直ちに新たな住居を確保することが必要となるなど、施行前入所者にとって極めて影響が大きいことから、一定の期間において、要支援認定を受けた場合においても、施設サービスが受けられることとする経過措置を置く必要がある。
(2)経過措置の内容
   平成18年4月1日に指定があったとみなされた介護保険施設に入所している従来の施設サービス費を受けていた者については、三年間に限り、当該施設に入所している間(やむを得ない理由により継続して他の施設に入所したものについては、他の施設に継続して入所している間を含む。)は要介護認定を受けたものとしてみなして、介護給付を受けられることとする。

9.介護支援専門員に係る経過措置(附則第11条関係)

(1)経過措置の必要性
   介護支援専門員は、現行、介護保険法第79条第2項第2号に基づく介護保険法施行令第35条の2の規定により、都道府県知事の登録を受けているものとされている。
   現に介護支援専門員の資格を有するものについては、改正法の施行後も、引き続き、介護支援専門員の資格を有することとする必要があるが、資格に有効期間を導入することから、改正法の施行の日に、都道府県知事の登録を受け、介護支援専門員証の交付を受けたものとみなす必要がある。
(2)経過措置の内容
   施行の際、現に介護支援専門員である者は、施行の日に、改正後の規定に基づく都道府県知事の登録を受け、介護支援専門員証の交付を受けたものとみなす。
   現行、介護支援専門員は、介護保険法施行令第35条の2の規定により、都道府県知事の登録を受け、介護支援専門員登録証の交付を受けているが、改正法の施行後は、当分の間、当該証明書を介護支援専門員証とみなす必要があり、この経過措置は政令で定めることとする。

10.指定介護予防サービス事業者に係る経過措置(附則第12条関係)

(1)経過措置の必要性
   新介護保険法第115条の10において第71条を準用し健康保険法による保険医療機関等の指定があったとみなす場合は介護予防サービスのいくつかの種類について指定があったものとみなすこととすることを踏まえ、現に、保険医療機関等になっている病院等についても、所要の経過措置を置く必要がある。 (2)経過措置の内容
   改正法の施行の際、現に、健康保険法の規定による保険医療機関等の指定を受けている病院等については、改正法の施行の日に、改正後の介護保険法の規定による師弟介護予防サービス事業者(介護予防居宅療養管理指導その他の省令で定める種類に係るサービスに限る。)の指定を受けたものとみなす。

11.老齢等年金給付の受給者に係る経過措置(附則第13条関係)

(1)経過措置の必要性
   第3条による改正後、年金保険者は、当該年金保険者から老齢等年金給付の支払を受けている第1号被保険者のうち、新たに特別徴収の対象となる市町村への通知について、以下のように年度を単位とした事務処理を行うこととしている。
@ 4月1日現在で、全ての(新規+継続)特別徴収対象者を市町村へ通知を行う(第134条第1項)。
A @から2ヶ月ごとに、新規対象者のみを把握し、市町村へ通知を行う(改正後の同条第2項から第6項)。
※ 第3条による改正により追加
   当該規定は年度途中(18年10月1日)の施行であるため、平成18年10月1日の現況により行う通知のみ、対象者の把握を行う期間等について経過措置を設ける必要がある。
(2)経過措置の内容
   新たに特別徴収の対象となる者の通知について、把握の期間を平成18年8月2日から10月1日までの間ではなく、平成18年4月2日から10月1日までの間とする。
   ※ 第134条第1項の規定により、当該年の4月1日時点における特別徴収対象者の通知を行うこととされているため、年金保険者は平成18年10月1日の現況において、初回の通知(4月1日)以降に特別徴収の対象となる以下のものを市町村に通知することとする。
   ・平成18年4月1日の通知で対象外となる同年3月に65歳到達した者
・平成18年4月2日から10月1日までの間に特別徴収対象者の要件に該当したもの

12.介護サービス事業者の指定等に係る経過措置(附則第14条関係)

(1)経過措置の必要性
   改正法により新設する以下のサービス等の事務の手続きについては、制度を円滑に実施する観点から、改正後の介護保険法の施行日前においても行うことができることとする必要がある。
@改正後の法第41条第1項の規定による特定福祉用具販売を行い事業者の指定の手続き
A改正後の法第42条第1項の規定による地域密着型サービスを行う事業者の指定の手続き
B改正後の法第53条第1項の規定による介護予防サービスを行う事業者の指定の手続き
C改正後の法第69条の11第1項の規定による指定試験問題作成期間の指定の手続き(試験問題作成事務規定の届出の手続きを含む)
D改正後の法第69条の27又は第69条の33第1項の規定による指定試験実施機関又は指定研修実施機関の指定の手続き
E改正後の法第115条の30又は第115条の36第1項の規定による指定調査機関又は指定情報開示センターの指定の手続き
(2)経過措置の内容
   上記(1)の揚げる手続きその他の行為については、施行日前においても行うことができることとする。

13.養護老人ホームの入所者に係る経過措置(附則第15条関係)

(1)経過措置の必要性
   現行制度においては、養護老人ホームには「身体上若しくは精神上又は環境上の理由」のために居宅において用語を受けることが困難な者を入所させることとしている(旧老人福祉法第11条第1項第1号)が、改正後は「環境上の理由」に限定することとしている(新老人福祉法第11条第1項第1号)。
   しかしながら、改正法の施行の際、現に養護老人ホームに入所している者については、過去に行政の職権による入所措置を行ったことにかんがみ、当該入所者が希望する限り、当該養護老人ホームに入所し続けられるものとする必要がある。
(2)経過措置の内容
   改正法の施行の際、現に養護老人ホームに入所している者について、新老人福祉法第11条第1項第1号の措置を受けて入所したものとみなす。

14.認知症対応型老人共同生活援助事業等の前払金の保全義務に係る経過措置(附則第16条関係)

(1)経過措置の必要性
   改正後の老人福祉法第14条の4又は第29条第5項の規定による、認知症対応型老人共同生活援助事業又は有料老人ホームの事業を行う施設に係る前払金の保全義務については、
@従前からの入居者を対象とした場合、前払金を建設費等の借り入れの返済に充てている事業者が少なくなく、倒産等が生じるおそれがあり、入居者の保護を欠くおそれがあること。
A既に設置されている施設に施行日以降に入居するものを対象とした場合、同一の住居に保全義務の対象となる者と対象とならない者が混在し、現場において混乱が避けられず、倒産等も生じるおそれがあるので、入居者の保護の観点から適当と考えられないこと
から、施行日以降に届出がされた、認知症対応型老人共同生活援助事業の住居又は有料老人ホームの入居者にかかる前払金を対象とする必要がある。
(注)有料老人ホームについては、事業の安定性を確保する観点から、都道府県においては、設計段階から届出を求めており、その時点で有料老人ホームの設置者は、入居一時金の設定や借入金の設定等を通常行っている。このため18年4月以降に入居者の募集や契約等の事業を行う有料老人ホームであっても18年4月以前に届出を行っている有料老人ホームについては、入居一時金の保全義務を課さないこととする必要がある。都道府県に確認したところ、平成18年4月以降にオープンする有料老人ホームであっても、現に既に届出を行っているものもあり、これらは都道府県も設置を実効上認めていることから、入居一時金の保全義務を課すことは困難である。
(2)経過措置の内容
   改正後の老人福祉法第114条の4の規定による前払金の保全措置の義務については、認知症対応型老人共同生活援助事業(施行日の前日までに改正前の老人福祉法の規定により届出がされたものを除く。)が行われる住居に施行日以後に入居したものに係る前払金について適用することとする。
   有料老人ホームも同様に、有料老人ホーム(施行日の前日までに改正前の老人福祉法の規定により届出がされたものを除く。)に施行日以後に入居したものに係る前払金について適用することとする。

15.生活保護法の一部改正に伴う経過措置(附則第17条〜第21条関係)

一 附則第17条
   附則第3条の規定により、地域包括支援センターの設置までは要支援認定や新予防給付を行わないこととなっており、改正後の生活保護法においても、地域包括支援センターによる介護予防支援計画の作成が介護扶助としての介護予防、介護予防福祉用具及び介護予防住宅改修の前提となることから、法律レベルの経過措置が必要となる。
二 附則第18条
   附則第7条同様、改正後の生活保護法においても地域密着型介護老人福祉施設(小規模特養)の居住地特例を置かないこととすることから、経過措置として、小規模特養に入所していた者については居住地特例を継続する規定が必要となる
三 附則第19条
   生活保護法における介護扶助の対象者は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない現行介護保険法第7条第3項の要介護者又は同条第4項の要支援者であると規定されている(生活保護法第15条の2)。また、介護保険法における被保険者は、65歳以上の者(第1号被保険者)と40歳以上65歳未満の医療保険加入者(第2号被保険者)の2通りであり、これらの者が介護保険法第19条第1項の要介護認定を受けて要介護状態又は要支援状態にあると認定された場合に介護保険の介護給付を受けることになる。    これらの両制度の関係を整理すると、
@65歳以上の被保護者については全員が1号被保険者となり、介護保険料相当額を生活扶助で支給する一方、介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定を受けた者の介護費用については、その9割について介護給付が支給され、残りの1割の自己負担分について介護扶助で支給している。
Aまた、40歳以上65歳未満の被保護者であって、健康保険等の医療保険加入者については第2号被保険者となり、介護保険料が医療保険の保険料に上乗せされて徴収される一方、第1号被保険者と同様に介護保険法上の要介護認定を受けた者についてはその9割について介護給付が支給され、自己負担分について介護扶助で支給している。
B一方、生活保護の被保護者については国民健康保険の加入が認められていないことから、40歳以上65歳未満の者の被保護者のうち、健康保険等の医療保険加入者となっていない者については、第2号被保険者とならない。
しかし、このような被保護者のうち、介護保険法第7条第3項第3号の要介護認定に相当する者(要介護状態にある者であって、その要介護状態が特定疾病により生じたもの)又は同項第4号のよう支援者に相当する者である場合は、生活保護法第15条の2の規定により介護扶助の支給対象となることから、その介護費用の全額を介護扶助で支給している。
この場合の要介護認定については、通知により原則市町村に設置される介護認定審査会に審査判定を委託して行うこととしている(介護保険法による介護扶助の運営要綱について(平成12年3月31日社援第825号)第4の2)。
今回の介護保険法本体の附則(第8条)においては、旧介護保険法において要介護認定を受けたものについては、新法の施行日において新法の要介護認定を受けたものとみなすという経過措置規定が置かれることとなっているため、@及びAに該当する者については生活保護法上経過措置規定は必要はないが、Bに該当する者については介護保険法上の手続きと連動して認定を行っていないため、別途生活保護法の附則として経過措置を置く必要がある。
この際、介護保険法附則第8条にならい、旧生活保護法上「要支援者」とされていた者についても新生活保護法における「要介護者」とみなし、改正後も旧法上の「要支援者」が受けていたサービスを引き続き受けられるようにすることとする。
また、この経過措置の期間については、生活保護法において介護保険法における有効期間と同種の規定が置かれていないため、当該者に対し不利益が生じないよう、介護保険法における要介護認定の最長有効期間である2年間とすることとする。
四 附則第20条
   附則第11条同様、改正後の生活保護法においても、要支援者は施設サービス(施設介護)が受けられないとすることから経過措置として、現に介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設に入所又は入院している者が要支援認定を受けた際も、引き続き同じ施設に入所又は入院している場合には、一定期間施設サービスを受けられることとする規定が必要になる。
   この期間にていては、附則第10条において、旧介護保険法における指定介護老人福祉施設等の入所者について3年間に限り同様の措置を認めていることにならい3年間とすることとする。
五 附則第21条
   附則第14条同様、改正後の生活保護法においても、介護扶助における介護予防等を行う者として特定福祉用具販売、地域密着型サービス及び介護予防サービスを行う事業者を指定することから、経過措置として、これら事業者の指定等の手続きについて、施行日前においても行う必要ができるとする規定が必要となる。
六 生活保護法の附則に指定老人介護福祉施設等のみなし指定規定を置かない理由
   附則第9条においては、旧介護保険法において指定居宅サービス事業者等の指定を受けていた者については、施行日に新たに指定したものとみなすこととされているが、これは、新介護保険法において新たに指定の更新制度が導入されたことに伴う措置である。
   他方、生活保護法第54条の2の規定による介護老人福祉施設等の指定については指定の更新制度が設けられておらず、今回の改正においてサービス内容の追加以外変更はないことから、改めて施行日におけるみなし指定を行う必要は認められない。
七 新設される地域密着型老人介護福祉施設に相当する旧生活保護法の老人介護福祉施設について、みなし指定規定をおかない理由
   旧生活保護法第54条の2においては、「・・・介護老人福祉施設、介護老人保健施設若しくは介護療養型医療施設又はその事業として居宅介護を行う者若しくはその事業として居宅介護支援支援計画を作成する者について・・・この法律による介護扶助のための居宅介護若しくは居宅介護支援計画の作成又は施設介護を担当させる機関を指定する。」と規定されており、同条における指定は施設の区分や事業者の区分に基づいて(例:「介護老人施設として」)行われるものではなく、これらの施設等について居宅介護当を担当する機関として指定しているものに過ぎない。
   また、同条の指定には更新制度が設けられていない。
このため、新生活保護法第54条の2においては、旧法の「介護老人福祉施設」のうち小規模なものに当たる地域密着型介護老人福祉施設が新たに指定の対象として規定されることとなるが、旧法において指定されていた同施設についての指定の効力はそのまま残るため、地域密着型老人介護福祉施設についてのみなし指定規定を置く必要はない。

附則第22条〜第26条関係(略)

17.罰則の適用に関する経過措置

(1)経過措置の必要性
   改正前の介護保険法における要介護認定の調査の委託を受けた介護支援専門員に対する秘密保持義務(改正前の介護保険法第27条第4項)の罰則の規定(改正前の介護保険法第205条第2項)については、介護支援専門員に新規の要介護認定の事務を委託させないこととすることに伴い、改正後の介護保険法において廃止することとしているが、施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によることとする必要がある。
(2)経過措置の内容
   (1)を踏まえ、この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によることとする。

18.経過措置に関する政令委任(附則第28条関係)

(1)経過措置の必要性
   改正後の介護保険法では、新規の要介護認定については、指定市町村事務受託法人にのみ委託させることとするが、市町村の準備体制が間に合わないおそれがあるため、政令において経過措置を置き、一定期間、居宅介護支援事業者に委託を行わせることとする場合がある。このような場合、当該居宅介護支援事業者に対する秘密保持義務を課す必要があるので、政令で定める経過措置において、罰則に関する経過措置を置く必要がある。(このほか、介護予防関連規定の適用に関する経過措置等を想定)
(2)経過措置の内容
   罰則に関するものを含め、施行に関し必要な経過措置を政令で定めることができるものとするもの。